生体エネルギー学(4)
インスリン抵抗性 · 2023/04/12
必要があれば、エネルギー代謝異常に伴うホルモンバランスの異常(コルチゾル、エストロゲンの過剰)を修正します。さらに、小腸内で消化が終わる食事を心がけ、大腸でのエンドトキシンの発生(セロトニンの過剰)を制限することも重要となります。 Ray Peat(1936-2022)がプロゲステロンの研究を始めたのが1968年で、彼の業績をまとめたホームページは2006年に設立されており、決して新しい学問ではありません。これまで脂肪毒性を考慮することなく糖質制限を推奨してきたことは慙愧に堪えませんが、偶然遭遇できたこの幸運に感謝し、速やかに修正して日々の診療に活かしたいと考えております 最後ですが、生体エネルギー学では老化もエネルギー不足よるものであり、慢性疾患と同様にエネルギー代謝の改善により予防と治療が可能と考えます。生体エネルギー学は、非常に論理的で全ての疾患に応用できる優れた概念であると感服しております。

生体エネルギー学(3)
インスリン抵抗性 · 2023/04/12
Georgi Dinkovの3年分のブログ記事650件(1000件を超える参考文献)をようやく読み終えることが出来ました。「全ての疾患は細胞のエネルギー不足が原因である」とする生体エネルギー学を3か月間検証し、その論理性に矛盾がない事を確認できたので、当院の治療方針を大幅に修正することにしました。 生体エネルギー学では、疾患の主な原因を多価不飽和脂肪酸(PUFA)による脂肪毒性とミトコンドリア機能障害とし、その結果、全身に炎症とインスリン抵抗性を引き起こすと考えます。 今後、肥満、2型糖尿病などの慢性疾患の治療に当たっては、脂肪酸酸化を減らしてブドウ糖酸化を増やす様に導きます。つまり、糖質を制限するのではなく、糖質の酸化利用を可能な限り増やせる様に手引きしたいと考えています。逆に、厳しい糖質制限、長い絶食、消耗性の運動は脂肪酸代謝を増やすので注意が必要となります。 具体的には、PUFA(植物油)の摂取を止め、飽和脂肪酸(SFA)に変更することが最も重要です。それで不十分であるなら、アスピリン、ナイアシナミド、ビタミンEにより、脂肪分解と脂肪酸酸化を制限してブドウ糖酸化を促進します。

生体エネルギー学(バイオエナジェティクス)による慢性疾患の治療(2)
インスリン抵抗性 · 2023/03/24
「生体の健康はエネルギーに依存する」と考える生体エネルギー学(バイオエナジェティクス)の観点から慢性疾患を治療する場合、まず多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取の中止し、次に脂肪組織の脂肪分解とミトコンドリアにおける脂肪酸酸化を抑制し、次に全身の代謝の促進する必要がある。さらに、エネルギー代謝と内分泌機能は密接に関わるため脂肪酸酸化増加に伴うホルモンバランス(特にコルチゾール、エストロゲン)の調整、エンドトキシン(同時にセロトニン)の管理が必要である。 具体的には、アスピリン、ナイアシナミド、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンA、サイアミン、リボフラビン、プロゲステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、シプロヘプタジン、重曹などの安価な薬やサプリメントを組み合わせることで、肥満からがんに至るほとんど全ての慢性疾患の治療に対応が可能と思われる。 高インスリン血症の肥満やメタボ患者に対して糖質制限は間違いなく有効である。インスリン分泌の少ないやせ型の糖尿病患者に対しては、脂肪分解と脂肪酸酸化を出来る限り抑えて、インスリン抵抗性を改善しながら糖の摂取量を少しずつ増やしていきたい。

生体エネルギー学(バイオエナジェティクス)による慢性疾患の治療
インスリン抵抗性 · 2023/03/24
植物油(サラダオイル)の普及により、リノール酸の消費量はこの100年で25倍に増大している。飽和脂肪酸(SFA)や一価不飽和脂肪酸(MUFA)と異なり、リノール酸を含む多価不飽和脂肪酸(PUFA)は燃焼しづらく、脂肪組織に貯蔵されやすい。脂肪組織の脂肪分解による遊離脂肪酸(FFA)の大半はPUFAであり、その上昇は肥満、2型糖尿病だけでなく、非アルコール性脂肪性肝疾患、心脳血管疾患、がんなどでも確認されている。 FFAの上昇は全身の組織に脂肪毒性を生じ、還元ストレス、小胞体ストレス、炎症、インスリン抵抗性を引き起こす。特に全身の組織のミトコンドリアにおける脂肪酸酸化の増加による還元ストレス(NAD/NADH比の低下)が問題となり、肥満からがんに至る幅広い病気のスペクトラムを形成する。 これまでインスリン抵抗性の改善のために、糖質制限食、間欠的絶食、運動を推奨してきたが、PUFAの摂取制限をしなければ、脂肪分解を促進することにより、かえって病態を悪化させる可能性がある。

ブテイコ呼吸法のすすめ(4)
一般 · 2022/09/23
2020年のコクランレビューにおいて、「ブテイコ呼吸法とヨガを含めた呼吸療法は、生活の質を高めて、過換気症状や肺の機能を改善する可能性がある」ことが認められました。何の害もなく、いつでもどこでも実践可能であるなら、ブテイコ呼吸法を試してみる価値は十分にあると思います。呼吸器疾患や心血管疾患だけでなく、糖尿病、肥満などの代謝性疾患にも有効性が報告されています。肥満やメタボリック症候群の方は、まず鼻呼吸から始めてみることをおすすめします。

ブテイコ呼吸法のすすめ(3)
一般 · 2022/09/23
少量呼吸法:呼吸回数と呼吸量を持続的に減らし、わずかに息苦しさを感じるまで自主的に呼吸量を減らし慣らす練習をします。軽い息止め(CP)と最大息止め(MP)を計測して、呼吸法上達の目安とします。CPでは、穏やかな呼気の後に息止めを始め、最初の呼吸欲求が起きるまで、または無意識の動きが起きるまで続けます。MPでは、穏やかな呼気の後に息止めを始め、可能な限り長く続けます。多くの人でMPはCPのおよそ倍になります。練習継続により、楽に息止めが出来る様になり、呼吸器症状が改善します。 リラクセーション:腹筋の緊張を高めて肩と胸の筋肉を緩めることを組み合わせて呼吸量を減らします。呼吸筋をリラックスさせることで、横隔膜の機能を改善します。喘息発作時の過呼吸をコントロールすることで負のスパイラルを予防します。 ブテイコ呼吸法の練習により、脳の呼吸中枢をリセットし、二酸化炭素に対する感度を鈍らせることで、CPは徐々に延長される様になります。 CPを40-60秒まで(MPを80-120秒)伸ばすことを目指します。

ブテイコ呼吸法のすすめ(2)
一般 · 2022/09/23
しかし、ブテイコ呼吸法の明確な呼吸指導は喘息患者に呼吸をコントロールする感覚を与えて、運動や喘息発作において起きる息苦しさに対する不安を軽減し、前向きな反応を引き起こす様にします。また、鼻呼吸により多くの一酸化窒素(NO)を副鼻腔で形成することで、気管支と末梢血管を拡張して組織の酸素利用効率を改善します。また、ブテイコ呼吸法は腹筋の緊張を高めて、肩と胸の呼吸筋を緩めることを教えて、横隔膜の機能を改善します。肺の過膨張を軽減して呼吸困難症状を有意に減らします。最後に、延長した息止めを繰り返し練習することで、身体の内因性抗酸化物質の産生を増やし、無酸素性作業閾値を上げ、高所や低酸素トレーニングに似た効果を生むことが判っています。 ブテイコ呼吸法の実際 ブテイコ呼吸法は次の三つからなります。鼻呼吸:寝ている時も起きている時も常に鼻呼吸を原則とします。空気抵抗の少ない口呼吸は過換 気の原因となりやすいからです。加温・加湿・除菌された空気の出入りは気道を保護するとともに、菌された空気の出入りは気道を保護するとともに、NOの分泌を高めて気管支を拡張させ、組織の酸素化を改善します。口テープのすすめ

ブテイコ呼吸法のすすめ
一般 · 2022/09/23
ロシア(当時ソ連)のブテイコ医師は、隠れた慢性的な過換気が心身を不調にする主な原因であり、世界中に蔓延していると考えました。ブテイコ呼吸法は「過換気と低炭酸ガス血症が多くの病態を悪化させる」とする病気の二酸化炭素仮説を根底とするもので、その呼吸法の主な目的は血中二酸化炭素レベルを上げることです。 1960年代の初期の仕事は、循環器系と呼吸器系の疾患の治療に呼吸訓練を利用したものでしたが、ブテイコ・クリニックで働いた医師たちにより、その対象は糖尿病、精神的疾患、免疫疾患、代謝疾患に拡大され、1990年代には、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカへと急速に広まりました。 低炭酸ガス血症は直接的に、または引き続き生じる重炭酸塩の低下、pH障害、組織酸素レベルの低下を通して、多くの身体システムに影響することが知られています。しかし、ブテイコ呼吸法の喘息治療への有効性を調べた臨床研究で、肺機能や喘息発作の悪化を伴うことなく治療薬が減らすことを示したのですが、客観的な肺機能の変化を示すことが出来なかったため、科学社会はブテイコ呼吸法に対して懐疑的です。

じゃがいもダイエット(3)
一般 · 2022/07/29
でんぷんはアミロースとアミロペクチンが水素結合により隙間なく規則正しく並んだミセル構造をしています。加水・加熱すると、ミセル構造が壊れて水分子が入り込み、ふっくらと柔らかく消化酵素が働きやすい状態となります(糊化)。しかし、糊化したデンプンを冷やすと、再びミセル構造を形成します(老化)。つまり炊き上げたご飯やジャガイモを冷蔵庫で冷やすとRSが増加するのです。一般的に水分量が30-60%、温度が2-10℃で最も老化速度が速くなります。再加熱の場合でも、70℃を超えなければRSは残る様です。 最近、白米の重さの3%分のココナッツオイルまたはバターを入れて米を炊き、冷蔵庫に12時間置くことで、RSが増加し、カロリーが50%減ることが報告されています。 じゃがいもはナス、トマト、ピーマン、唐辛子などと同じナス科の植物で、糖アルカロイドと呼ばれる天然の農薬(毒)が含まれています。じゃがいもにはソラニンが含まれ、調理する際には芽の部分や皮が緑色になっている部分をしっかり取り除く必要があります。ソラニンは腹痛や吐き気等の症状を引き起こすことがあり、加熱調理してもなかなか分解されないので注意が必要です

じゃがいもダイエット(2)
一般 · 2022/07/29
腸内細菌叢による短鎖脂肪酸の産生障害は肥満やメタボリック症候群の原因となります。短鎖脂肪酸の中でも酪酸は特に重要であり、ヒトと腸内細菌叢のクロストークの主な伝達物質として働き、腸管免疫能を改善し、炎症を抑え、インスリン抵抗性を改善し、食欲を抑制し、肥満を改善します。酪酸産生の増加は、肥満やその関連代謝疾患の予防のための重要な戦略となります。 じゃがいもはご飯や食パンと比較して、カロリーが低く、糖質量が少ない上に、RSが極めて多い特徴があります。さらに、ビタミンCやカリウムが豊富です。主食としてご飯や食パンの代わりにじゃがいもを食べることで、カロリー制限と糖質制限をするだけでなく、プレバイオティクスの補給により腸内細菌叢の健全化を推進します。じゃがいもは食べ応えがあり、腹持ちもよく、食べ過ぎが心配な方にもおすすめです。

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